Sin
その日の夜。
「仕事があるから、先に寝なさい」
笑顔でジャックに言われ、先にベッドへ上がったものの、なかなか寝付けずシンは毛布の中でひたすらぐるぐると寝返りをうった。
『元気……か、教えて……一言でも構わないから』
母親の必死な願いと、それを拒絶し続けるジャック。
二人に何があったか知らないし、どちらが悪いのかという問題でも無いんだろう。
はあ、と小さく息をつく。
……俺、母さんの事憎めたらいいのにって思ってた。顔も見たくないってくらい、憎めたら楽なのにって。
でも。
シンはそっとベッドの端に寄り、仕事をしているだろうジャックを見下ろした。
ジャックはテーブルに肘をつき、頭を抱えて俯いていた。何だか辛そうな背中。
ごみ箱に視線を移す。いつも以上に握り潰された白い封筒。
『良い人“だった”と思うよ』
「……ジャック」
シンが恐る恐る声をかけると、ジャックはゆっくり顔を上げた。
振り返った、彼のどこか虚ろな目。