Sin
「……母さん、さ」

視線をミルクに落としたまま、シンはぽつりと呟いた。

「あの時……俺の事、なんか言ってた?」

すぐには答えず、ジャックはコトリとコップをテーブルに置いてシンを見つめる。

『本気で憎んでるんじゃない……!!』

苦しそうに嗚咽するシンの母親の声が蘇る。

『疲れたの。……この子さえいなければって……憎らしく思った』

事実を有りのままに話しても、シンは耐えられるだろうか。辛い記憶を思い出し、また悪夢を見たりしないだろうか。

「……気になるか?」

そう尋ねるジャックの瞳は優しくて。自分の事を本気で案じてくれているのだと感じ、シンは嬉しかった。

「うん……気になる」

「何を話しても大丈夫か?」

シンは迷わず頷く。

「今の俺にはジャックが居るから。だから大丈夫」

真っすぐなシンの瞳に以前には無かった強さを感じ、ジャックは小さく頷いた。


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