Sin
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「そうか、シンは今十歳か」

「八つの時母さんと別れて、その後林檎の花を二回見たから。多分十だと思う」

『おはよう』と言ってくれた日から、シンは少しずつ自分の事を話してくれるようになった。

「母さんと二人で居た時はここの隣町に住んでてさ。ここより田舎だった」

「そうか。なんか思い出はあるか?」

ジャックはパイと紅茶を用意し、ソファーで膝を抱えているシンの隣に座る。

「……嫌な思い出なら沢山」

シンは目を伏せて答えた。

「例えば?」

「……奴隷ごっことか」

背筋に寒いものを感じたが、ジャックはぽつりぽつりと話すシンの言葉を黙って聞いた。


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