Sin
彼はいつも怪我していた。

「転んだんだ」

明るく笑う彼。明らかにそうで無いことは、幼いジャックにも分かった。

親しくなるうち、彼は本当の事を話してくれるようになった。

「学校でさ。階段から突き落とされて」

「父さんが酔ってて。殴られたんだ」

誰にも話せず辛かったのだろう。彼はジャックに会う度に泣いていた。

「ジャックだけだよ。僕の友達は」

ジャックは出来るだけ彼と一緒に居た。手当てをし、話を聞き、一緒に泣いた。

「ありがとうジャック。おかげで僕、もう少し頑張れそうだよ」

紫色に腫れ上がった痛々しい目元が嬉しそうに笑っていた。



しかし、悲劇は突然起きた。


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