世界の説明書
 「ママ、今日は町に行こうと思うんだ。大丈夫、絶対に誰にもぶつからないよ。大丈夫。最近は大分、町での歩き方も解ってきたし、町にはね、黄色い細い道が、道の真ん中に在るんだよ。そこはね、目が見えない人達が歩く道なんだ。そこはね、ぼこぼこしていて皆、歩きたがらない。目の悪い人を気遣って歩かない人もいるけど、ほとんどは足をくじいてしまうからだよ。僕はそこを歩いてる。もちろん、その上を平気で歩いている普通の人も要るけど。」
母親はなにも言わず、ただそこに立っていた。多少疲れているのか、肩で息をする様に、葉を揺らした。夏の暑い日ざしが原因かも知れなかった。
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