世界の説明書
「でもね、不思議なんだ。町のみんなは僕に気が付かないのに、あの黄色い道を歩いている人々は僕の事が判るみたいなんだ。この前は、三十歳位のお兄さんが、黄色い道の上で僕が道を譲ろうと脇に避けたら、同じように僕に道を譲ろうとした。もちろんその人も杖をついて、サングラスまでしていたよ。もう、何度かそういう事があったんだ。歩く時だって音がでないように歩いているのにさ。きっと見えてるんだね、僕の事が。でも、僕の事を怖がったり、嫌ったりしていないんだ。まあ僕もみんなのそんなすぐ近くまで行った事なんて今まで無かったから、みんな僕の事どう思うかなんか分からなかったけど。でも、ママがあれだけ、遠ざけてた彼等だから、てっきり僕も、悪い奴ばっかりなのかと思ってたけど、案外そうでもないみたい。困っているおじさんに飲み物をあげてる人とか、パパと娘が一緒にトイレに入ったりしてて、みんな仲がいいんだ。あ、そういばそのパパとトイレに入っていた子が、青いかっこいい帽子と服を着ているおじさんと何かしら一生懸命話してたな。おじさん凄く怖い顔してた。でも、おじさんがいなくなると、その子は、また別の髪が黄色い男の人と公園の奥へといなくなった。あの子は何をしてるんだろう。まあいいや。でも中には変な人もいて、絶対に誰が来ても道を譲ろうとしない人や、道に唾ばっかり吐いている人ももいる。汚いよね。後、なんだっけ、あの、うるさい奴。あ、そうそう、車だ。あいつらは危険だよ。たまに大きな叫び声を上げたかと思うと、人がいっぱい歩いている道に突っ込んだりしてる。たくさんの人が鳴きながら、動かなくなったりしてた。あいつ、僕嫌い。」