世界の説明書
 自分の為に頑張るから、疲れる。/そして、低いゴールで満足して、満足するから止まる。人の全てが止まる。/だから、誰かの為に頑張ることが出来れば人が止まらない。世界中の人間に愛を。私が生きている理由、それはあなたの為/ 
真理の言葉なのに、嘘に聞こえる言葉がどこかのラジオから漏れていた。二郎は顔のリン粉を拭いては、集めた粉を鼻から吸い込んでいた。総ての、凡ての、感覚を統べる、そう、最高の感覚の状態を今から保つ要があった。ストイックに毎晩ボクサーのように、夜の街を颯爽と歩いていた。余計な脂肪も大分落ちてきてはいた。町は相変わらず退屈だが、二郎の心はすこぶる好調だった。目に見える凡ての物が可愛らしく、抱きしめたいほどまでに小さかった。握りつぶしたい、ビニールのプチプチを全身に巻きつけビルからダイブがしたかった。うかれた二郎の肩に何かがぶつかったような気がしたが、今日はそんな小さな事なんてどうでもいい。殺したければ、殺せ。二郎は空に向かっ叫んだ。
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