世界の説明書


電車内で無差別殺人が起こった、直ちに現場に急行せよ。
 
またしても長谷川の無線機に指令が下った。
 駅のホームに下りた彼の視線を捕らえたのは、ブルーのビニールシートの下から覗いている若いOLの股座だった。血だらけの上半身に不釣合いな程に真っ白な下着が、彼に寂しそうに話しかけてくる。もっと、もっと人生を楽しみたかった。男をもっと知りたかった。長谷川は電車内に残っている頭の割られた死体をホームまで運び出すように命令された。彼は、若い女性の死体ばかりを運び出し、その度に、女性の胸や、臀部に白い手袋をした手を忍ばせていた。死んで間もない体はまだ、柔らかく、そのやわらかさを感じるたびに、長谷川は、なんて淫乱な女だ、死して尚男を誘っていやがる。ほら現にパンツの中だってびしょ濡れだ。殺される前まで何を電車内でしていたのか。まさか、車内で行為に及んでいたのか。全く、なんて淫乱なんだと憤慨していた。彼が五人目の死体を運び出し終えた時、彼は人知れず射精していた。頭が真っ二つに割れて、脳みそを垂れ流している二十歳代前半の茶髪の女の顔をみた瞬間、彼は絶頂に達した。出来る事なら、この死体のパンツを脱がし、その割れ目に己の短剣を突き刺してやりたいと思った。女達の卑猥な股座にどれだけの男が人生を飲まれ、溺れた事か。人前で平気で股を開き、失禁している女性の死体を眺めながら長谷川は怒りを覚えた。まるで自分の母親だ。
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