世界の説明書
 今までの現実とは比べ物にならない不幸が、突如なんの罪も、理由もない人々に降りかかった時、そこから少しでもよい方向に現実を変えていこうとする彼等の力が世界を変えていく。戦争を起こした当事者は机の上でセカイを楽しんでいる。被害を受けた人々はそれは、世界を呪うだろう。しかし、それによって得られるのは、何も変わらない自分の現実と自分を無視して変わっていく現実との距離の遠さだけだ。果てしなく時は無常に同じ時を平等に私達に与える。そこには個人の意味など何の意味があるだろう。人々は忙しすぎて他人の意味を忘れ、自らの意味にのみ個執し、わかりあえず互いを傷つけあう現代において、初めて人は生きる事から自由になる。今まで目に見えていたものが無くなり、見えなくなった時に、今まで見えなかったものが見えるようになる。横にいる人間の意味が初めて分かる。一人で生きていたと思っていた時は、周りの人間なんてどうでもよかった。自分を容認する人間は容認し、無関心ならば、無関心だった。それで世界は回っていると思っていた。確かに回っていた。しかし、一度覚めた人間は隣人の存在意味が自分の意味となり、ここは存在しあう事で成り立つ世界であると気づいた。生かされている。だから、正人は二度と振り返らない。私達は生きている。この星に、張り巡らされた電波、道、気体、液体が伝える人間の現象、それを憂いている神。傍観に徹した神に何を願う。まずは人々の力が世界を変える。
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