世界の説明書
「あんたが話さないなら、俺が勝手に話すよ。どうせ、そこにいるのは分ってるんだ。さっきからあんた一歩も動いてないだろう。それに『自分の』息だって、、殺してる。誰に遠慮してるんだ。遠慮するくらいならやめればいいのに。疲れないか、こんな事して。そんな風に生きて。なんか、あんた無理してるな。ずっと震えてるだろう。ずっとあんたは、震えている。俺がそんなに嫌いか。俺だって別に楽して生きてきたわけじゃない。俺なりに必死に考えて生きてるんだ。でも、上手くいかないだけだ。何をやっても、自分が思っていたようにいかないんだ。そして、突然気づくと悪者になっていたり、場の空気に当てられて言いたくない事までつい口走ってきた。俺が生れ落ちたポジションがそういう所なのかもしれない。誰とも話さず、誰とも遊ばず、いつも一人ぼっちだ。母親と二人っきりで、みんなとは一緒になれない。世の中は俺を見えない。俺は、この世に存在しない事になってるんだ。誰にも見えない。世界は俺を無視して進んでいく。俺はいつもヒトリだった。一人ではないけれど独りだった。そして、母が死に、一人にもなった。でも、見つけたんだ。生きる理由。一生を捧げて守ろうと思う物が出来たんだ。誰にも見られなくたって、誰にも気づかれなくたっていい、それさえ守れればって思った。昔、自分のせいで、、、まあいいやこの話は。で、あんたはまだ黙っているのか。話せよ。あんたの話を、生まれてから、今日までの事を、話してくれよ。」