世界の説明書
 「名子、名子、しっかりしなさい、ここにはパパ以外に誰もいない。」

というと、また、正人の後方でけたたましい、サイレンの音が聞こえてきた。学校の校門の周りには、事件を目撃した人や、途中参加のじゃじゃ馬達でごったがえしていた。二人の警官がパトカーから出てきた。俯きがちで眼鏡をかけている警官が事故現場をきょろきょろと見回し、もう一人の先輩らしき警官が、正人に神妙な顔つきで話しかけてきた。正人は名子に、少し警官と話さなければいけない事を告げ、色黒の逞しい警官と向き合った。


「すいません、大丈夫ですか。私のせいで、ごめんなさい、私は目が見えません。だから、あなたが助けてくれなかったら、今頃はどうなっていた事か。ありがとうございます。本当にありがとうございます。今すぐ助けを呼びます。警察も来たので、すぐに病院に行きましょう。でも、なんで、なんで、あなたは、どうして、、私なんかを助けたの。私なんか、私なんか、、、、」


 あ、り、が、とう、、、でも僕は大丈夫、だ、よ、、、僕は、何も要らない、、何も、、だって、、、君が無事だったんだから、、君が、、無事なら、、、僕は、、大丈夫、、、

「何故、何故なの。私が無事なら、あなたは大丈夫なの、、あなたが、どれほど傷ついているか私には見えない。でも、今のあなたは確実に良くないはず。だって、もう、そんな声になってしまっている。まるで、、そう、、もうすぐ、消えてしまいそうな、、」

 僕は、、消えたりなんか、、、しないよ、、大丈夫だよ、、だから心配しないで、、、元気に、、お父さんと、、生きてね、、僕のせいで君が、心配したり、悲しんだりしたら、僕のした事が無駄になってしまうでしょう、、だから、、、僕は、、、もう、大丈夫、、、本当に、、
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