世界の説明書
成長
「ママ、今日は学校でね、みんなでね、バレーボールしたの。後ろにいた少し目の見えるカナちゃんが、ボールの場所を教えてくれて、私がそれを手で思いっきり叩くの、すごく楽しいんだ。」
明子は目の見えない子供がどうやってバレーボールをするのか、いや、出来るのかと想像を巡らしながら、
「そう、バレーボールをしたの。ママも若い頃は色々なスポーツをしたものよ。」 とひたすら明るく答えた。この頃は名子も目の見ない生活に大分慣れてきて、自分で出来る事は全部自分でする様になっていた。 ピアノを弾いたり、お話を自分で作ったり、名子は学校でたくさんの友達から、目が見えずとも生きていける知識と知恵を学んでいた。ただやはり、一人で町を歩くというのは危険だと思われる為、いつも明子か、正人が傍についていた。正人は週末ともなると名子をキャンプや、動物園、およそ目が見えない名子には面白くなさそうな場所にも連れていった。一緒の時間を家族で過ごせるよう必死だった。名子も視覚以外の全ての感覚で自分の生きているこの世界を楽しみ、また、毎日新しい何かを学んでいた。ぎこちないながらも三人は共に自分達の世界をすばらしいものに変えていった。明子達にとって名子は生きる光であり、それは名子にとっても同じであった。光だって闇からみなければ気がつけない、皆それを感じていた。明子の携帯電話がなった。
“今日は早めに帰るから、夕飯俺のの分も頼むね”明子は正人のメールを読み、久々に早く帰宅する正人に何を食べさせてあげたらよいのか、名子と二人、あれこれなんとも楽しい想像を膨らませていた。
「ママ、今日は学校でね、みんなでね、バレーボールしたの。後ろにいた少し目の見えるカナちゃんが、ボールの場所を教えてくれて、私がそれを手で思いっきり叩くの、すごく楽しいんだ。」
明子は目の見えない子供がどうやってバレーボールをするのか、いや、出来るのかと想像を巡らしながら、
「そう、バレーボールをしたの。ママも若い頃は色々なスポーツをしたものよ。」 とひたすら明るく答えた。この頃は名子も目の見ない生活に大分慣れてきて、自分で出来る事は全部自分でする様になっていた。 ピアノを弾いたり、お話を自分で作ったり、名子は学校でたくさんの友達から、目が見えずとも生きていける知識と知恵を学んでいた。ただやはり、一人で町を歩くというのは危険だと思われる為、いつも明子か、正人が傍についていた。正人は週末ともなると名子をキャンプや、動物園、およそ目が見えない名子には面白くなさそうな場所にも連れていった。一緒の時間を家族で過ごせるよう必死だった。名子も視覚以外の全ての感覚で自分の生きているこの世界を楽しみ、また、毎日新しい何かを学んでいた。ぎこちないながらも三人は共に自分達の世界をすばらしいものに変えていった。明子達にとって名子は生きる光であり、それは名子にとっても同じであった。光だって闇からみなければ気がつけない、皆それを感じていた。明子の携帯電話がなった。
“今日は早めに帰るから、夕飯俺のの分も頼むね”明子は正人のメールを読み、久々に早く帰宅する正人に何を食べさせてあげたらよいのか、名子と二人、あれこれなんとも楽しい想像を膨らませていた。