世界の説明書
明子は一瞬彼の話の意味が解らなかったが、「目の不自由」という言葉に、同じ境遇の娘を持つ親として何か力になりたいという気持ちが生まれた。そして、その優しさが、彼女の、目の前にいる少年へ警戒心ををいとも簡単に解いた。
「いえいえ、目の不自由な方がお困りとあれば、何か力になれるかもしれません。私は大した知識もありませんが、困っている人がいるのでしょう。何か私に出来る事があればいいのですが。」 と明子は自らの緊張感が使命感に変わるのを感じながら答えた。
「本当にすいません。その人は少し酔っているのか、ふらふらしておりまして、未成年の僕では何をしていいのすらわからなくて。今彼は、トイレの中で助けを求めています。」
助けを求めている、この言葉がさらに明子の正義感に火を付け、めちゃくちゃな話の脈略など吹っ飛んでしまった。
「では、トイレに行きましょう。さあ。」と二郎がエスコートしようとすると、明子は
「ちょっと待って下さい。この通り、私の娘も盲目ですので誰かがそばで見ていただかないと、、、」と、名子の手を握り締めながら、名子の顔にちらっと視線を向けた。
「それなら僕に任せて下さい。トイレはすぐそこだし、ここは僕に任せて、あのかわいそうな盲目の男性を助けてあげて下さい。僕は警察の方を呼んできます。」
二郎はにやけそうになる顔に、必死に善良そうな無垢な少年の仮面を貼り付けながら、懇願するように明子に頼み込んだ。
「分かりました。 名子、少しここにいて頂戴、今からママは困っている人がいるから少し様子を見てくるから。」
「いえいえ、目の不自由な方がお困りとあれば、何か力になれるかもしれません。私は大した知識もありませんが、困っている人がいるのでしょう。何か私に出来る事があればいいのですが。」 と明子は自らの緊張感が使命感に変わるのを感じながら答えた。
「本当にすいません。その人は少し酔っているのか、ふらふらしておりまして、未成年の僕では何をしていいのすらわからなくて。今彼は、トイレの中で助けを求めています。」
助けを求めている、この言葉がさらに明子の正義感に火を付け、めちゃくちゃな話の脈略など吹っ飛んでしまった。
「では、トイレに行きましょう。さあ。」と二郎がエスコートしようとすると、明子は
「ちょっと待って下さい。この通り、私の娘も盲目ですので誰かがそばで見ていただかないと、、、」と、名子の手を握り締めながら、名子の顔にちらっと視線を向けた。
「それなら僕に任せて下さい。トイレはすぐそこだし、ここは僕に任せて、あのかわいそうな盲目の男性を助けてあげて下さい。僕は警察の方を呼んできます。」
二郎はにやけそうになる顔に、必死に善良そうな無垢な少年の仮面を貼り付けながら、懇願するように明子に頼み込んだ。
「分かりました。 名子、少しここにいて頂戴、今からママは困っている人がいるから少し様子を見てくるから。」