世界の説明書
「いつもこの公園の横を通っては、あなた方をまるでドブねずみの様に、いや、それ以下の存在の様に思っている女がここに来る。彼女はあんたらの横を通る時に息すらしない。なぜか、あんたらの事を馬鹿にして、卑下して、見下しているのさ。事実、やつらのペットの方があんたよりいい物食ってるし、病院にもいくし、美容院にもいく。あんたよりずっと金をかけてもらっている。そう、あんたはそのバイタの犬以下だって事だ。犬以下だ。生きる価値も無い、死んでもゴミより汚い物にしかならない物体。いや、奴らのセカイはあんたを見ていない。そう、やつらにはあんたの事が、見えてない。あんたはこのセカイの中に存在していない。だってそうだろう。あんたの仲間が死にそうに苦しんで公園で倒れていても、奴等の誰一人助けようとしない。あんたが苦しく死にそうになった時ですら、殴りはするが、誰も助けに来なかった。なぜなら奴らにはあんたが見えないからだ。あんたは何をしたって、今まで誰にも認められなかった。会社にも、家族にも、恋人にも、先生にもだ。何故か。それはあんたの事をこのセカイが無視しているからだ。じゃあ、どうする。 簡単だ。何をしたって誰も見ていない。ということは、何でも出来る。くだらない法律や、価値観、そんなものに縛られること無く、己がしたい事をすればいい。誰にも媚びずに、縛られずに、自由に生きるがいい。それがあなた達勇者がこの世に生を受けた意味だよ。さあ解ったら、あそこの公衆便所に居てくれ。新しいセカイが君を待っている。そして、あなた達を苦しめた、浴望に取り憑かれた女をあなたの正義で目覚めさせてくれ。差別され、痛めつけられてきた仲間の敵をその手で取ってくれ。」
泥酔しているホームレスは二郎の言葉の意味の半分も理解していなかったが、汚い、無視、ゴミ、そういった言葉の破片が彼の心に剣山のように刺さった。もう忘れてしまった人としての最後の尊厳が蘇った。すかさず二郎はあの外国人から仕入れた白い粉の入った小さな透明な袋をおもむろに取り出した。
「あんたをいつも虐めるあの外人は俺が倒しといた。あんたは、これで、無敵だ。さあ、さあ、あんたの本当を見せてくれ。」
泥酔しているホームレスは二郎の言葉の意味の半分も理解していなかったが、汚い、無視、ゴミ、そういった言葉の破片が彼の心に剣山のように刺さった。もう忘れてしまった人としての最後の尊厳が蘇った。すかさず二郎はあの外国人から仕入れた白い粉の入った小さな透明な袋をおもむろに取り出した。
「あんたをいつも虐めるあの外人は俺が倒しといた。あんたは、これで、無敵だ。さあ、さあ、あんたの本当を見せてくれ。」