世界の説明書
 「坊や、もう自分を責めるのはやめなさい。そしてもう彼らの事を考えるはやめなさい。例えあなたが、あの子の事を思って何かしようとしても、全ては見えないの。誰も私たちを見えない。ただ怯えるだけ。そして、見えないからと、平気で私たちの生活を無視し、私たちを無視し、私たち生きていることすら知らずに生きている。あなたのパパの時もそう、あの、大型トラックはブレーキも踏まずにパパを轢き、そのあとも何台ものトラックが動かなくなったパパの上を通っていった。それが彼等なの。私達の事は彼等からは見えない。だから、私達も彼等に何でもできる。しかし、それはずっと昔にご先祖様達がしてはいけない事と決めたの。昔、なんでも好きな事をしていた私たちのご先祖様は結局、仲間同士で殺し合いになり、嘘をつき、騙し、気付けば彼らになっていたのよ。」

「人間ってそんなに悪い生き物なの。」

「彼らが悪いとか、私たちが良いとか、そういう事じゃないの。ただ、私達とは彼等は一緒には生きていけないの。共存していけないというだけなの。彼らにとって私達は恐怖以外の何もでもないのよ。それにもし、私たちの存在が彼らに知れれば彼らは私達を捕まえて彼らの道具にするか、全員を殺すのか、どっちかしかないの。実際にそういう事は私達の歴史上何度もあった。」

「殺す? ママ、なんでそんな怖い事するの。 一緒に仲良くなる方法があるはずなのに」

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