世界の説明書
救済
「パパ、パパ、もう学校に行く時間だよ。起きて、ねえ起きてよ。」
「ああ、もうそんな時間か。分かった、起きるから、少し待ってくれ。」
正人の時間は止まったままだった。最愛の妻の不幸以後、何をしても、何を見ても無感動な己にすでに慣れ始めていた。名子との二人きりの生活において、本来自分が在るべき位置を見失っていた。父親である事、名子の一生の光である事、明子の夫でいる事、全てが分からなくなってしまっていた。正人の心には常に、なぜ自分なんだ、娘の目がみえないのも、最愛の妻が絶望的な死を遂げるのも、なぜ全て自分の人生に起こるのだと、神に対する恨みしかなかった。全てを投げ出す勇気も、全てを受け止める勇気も、そのどちらもないまま、ただ死んだような時間が過ぎていった。毎日浴びる酒は確実に正人の心を変え、そして名子との距離が徐々に遠くなって行く事に、悲しみと安らぎが不安定に同居していた。名子は名子で、父親の人生を台無しにした自分の視覚を呪っていた。
「さ、さあ、が、がつ、学校にいくぞ。あ、あ、あ、きょ、今日もいい子にして放課後はいつものところで待ってろよ。あ、パ、パパもお仕事頑張ってくるから。あ、あ、あ、あ」
最近の正人は話す時にどもる様になっていた。多量に摂取しすぎたアルコールが原因だった。
「うん、 でもね、パパ、 一つだけ、、、いい、、かな。」
「あ、あ、あ、どうした、き、きゅ、急にそんなにかしこまって。あ、あ、あ」
「うん、、パパは私の事好き?」
「パパ、パパ、もう学校に行く時間だよ。起きて、ねえ起きてよ。」
「ああ、もうそんな時間か。分かった、起きるから、少し待ってくれ。」
正人の時間は止まったままだった。最愛の妻の不幸以後、何をしても、何を見ても無感動な己にすでに慣れ始めていた。名子との二人きりの生活において、本来自分が在るべき位置を見失っていた。父親である事、名子の一生の光である事、明子の夫でいる事、全てが分からなくなってしまっていた。正人の心には常に、なぜ自分なんだ、娘の目がみえないのも、最愛の妻が絶望的な死を遂げるのも、なぜ全て自分の人生に起こるのだと、神に対する恨みしかなかった。全てを投げ出す勇気も、全てを受け止める勇気も、そのどちらもないまま、ただ死んだような時間が過ぎていった。毎日浴びる酒は確実に正人の心を変え、そして名子との距離が徐々に遠くなって行く事に、悲しみと安らぎが不安定に同居していた。名子は名子で、父親の人生を台無しにした自分の視覚を呪っていた。
「さ、さあ、が、がつ、学校にいくぞ。あ、あ、あ、きょ、今日もいい子にして放課後はいつものところで待ってろよ。あ、パ、パパもお仕事頑張ってくるから。あ、あ、あ、あ」
最近の正人は話す時にどもる様になっていた。多量に摂取しすぎたアルコールが原因だった。
「うん、 でもね、パパ、 一つだけ、、、いい、、かな。」
「あ、あ、あ、どうした、き、きゅ、急にそんなにかしこまって。あ、あ、あ」
「うん、、パパは私の事好き?」