世界の説明書
 が、と鈍い音が鳴り、ホームレスは一瞬何が起きたのか分からず、「うううう、、、」とうなり声を上げた。そして、なんだ、誰だ、俺がこんな事されなきゃいけない理由が分からない、とパニックに陥りながらも彼は飛び起きた。まず彼の目に飛び込んできたのはベビーカーを押す若い黒髪の母親の後姿。そして、濃い灰色の石でできたベンチに、肉付きのよい死んだ魚のように瞳孔を見開いた少年。瞬時に何かおかしな子供だなと感じた。が、そのときには既に2分ほど過ぎていた。彼の脳の動きは恐ろしく鈍い様だった。

「ねえ、聞いてるの、臭いな、なんで生きてるの。なんで、もう生きてる必要ないでしょ。この世界が嫌いで、ここに住んで一人で悲劇のヒーローを気取ってるんでしょ。だから人が集まる公園で、生活のライブでしょ。寂しいから、うんちしているのも人に見せるんでしょ。早く死んでくれないかな。」

 現実を見る事に疲れ、その役目のほとんどを失っていた彼の目がいきなり黒味を帯びた。自分の行動のの半分しか把握できない彼だが、面と向かって侮辱された事に対して、彼の中の何かが吼えた。
       
 死んでくれないかな、、、、
 
 彼のの願い事が一つも叶わなかった現実世界からやってきた人間に、生まれて初めて依頼去れた事が、「死んでくれないかな」だった。彼は久々に本気で頭に来た。そして、彼の脳みそが飛び出そうなほどの血流が彼の頭に流れ、それは、彼の意識を奪い、彼はそこに倒れこんだ。

「予定と違うけど、ま、いいか。」 月が二郎の額で滑った。
< 72 / 200 >

この作品をシェア

pagetop