世界の説明書
この子は一体何を言っているのだ。さっきさんざん自分の事を罵っておいて、しかも、死んでくれないかとまで頼んだのに。それとも、まさか、自分はこれほどまでに卑屈になり下がり、その思い込みで幻聴まで聞こえてきてるのか。確かに酒を飲むと世界が急に風呂場の様になり、湯気で何も見えなくなってしまう。その時は自分でも解る、覚えていないが、そのせいで自分の人生がこうなったのを知っている。解る。しかし、酒を飲んでいない時でもこんなになってしまったのか。と、彼は自分の事を疑いだした。いや、この少年は確かに自分を侮辱した。現に蹴られた頭に痛みはあった。しかし、少年は「ボールをぶつけた」といっていた。ボールがぶつかったのか。だから痛みがあるのか。分からない。真実が分からない。何故だ、何故分からない、とにかく今は、何をここでしているのだ。しかし、この子はなんで、自分なんかに話しかけているのだ。皆、自分をこの見た目のせいで、醜い顔のせいで避けてきたのになんで、彼は自分に話しかけているのか。子供の頃からこの目のせいで頭まで悪いと思われてきた。気味悪がられた。仕事も会社側の都合で辞めさせられた。だいたい理由は同じだった。よその人が怖がるから。彼は気付けば一人、自分のセカイで過去を思い出していた。そんな彼に二郎は優しく話しかけた。
「ほら、風邪薬あげる、それにおじさんにもこれ上げる。僕の喉飴だけど、あげる、おじさん声が、がらがらだよ。喉痛いでしょう。」
「ほら、風邪薬あげる、それにおじさんにもこれ上げる。僕の喉飴だけど、あげる、おじさん声が、がらがらだよ。喉痛いでしょう。」