世界の説明書
 彼は手渡された黒いむき出しの飴玉見つめ、静かに彼のあぐらをかいているひざの左側に置いた。信用していいのか、彼はいぶかしんだ。しかし、喉の渇きに耐えかねて雨を口含んでみた。舌先ピリッとしびれたかと思うと、急に頭の中がすうっとしてきて、なんとも良い気持ちになった。その飴玉は二郎がインターネット上で見つけたもので、二郎が愛飲しているジュースとは効力が違った。

 スマイル キャンディー
 効力:悲しみ、絶望感の緩和  これ一粒であなたはエンジェル!!
 
それから二郎は毎日彼の所に飴玉や、食べ物を届けた。彼は、二郎から貰う黒い飴玉を舐めると決まって、心が落ち着いて、世間に対する不満や、己の不幸に対する不安が何処かへ吹き飛んでいった。しかし、飴が無くなりしばらくすると、極度の緊張状態に陥り、不安や絶望が彼を包んだ。そして、また次の日に、二郎から飴をを貰い、元気になり、また、不安になりと、この繰り返しが数日続いた。また、彼の母親は二郎から貰った風邪薬や、食べ物で小康を保っていた。母の為に尽くしてくれる二郎の事を彼は心底ありがたがった。
 やがて、彼は二郎の持ってくる飴玉の虜になっていった。あれが無いとものすごく不安になって、思考がぐちゃぐちゃになり、涙が出てくる様になった。二郎はそんな彼を見下ろしながら次の計画を実行に移した。
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