甘い記憶

ストロベリーティー

−春樹の家に到着−

春樹の親は、病気で亡くなっている。春樹はアパートで一人暮らしだ。

「いいよ、あがって。」

「おじゃましま〜す。」

『うわぁ〜。春樹先輩ってアパートだったんだ!しかも、私のアパートより広〜い!!あんまり物が置いてないシンプルな部屋〜。』

すると…。

「ワンッ!!」

「うわっ!…犬飼ってるの?」

「うん。名前はチャッピーだよ。」

春樹がお茶をいれながら言った。チャッピーは毛がクリーム色のアメリカン・コッカー・スパニエルだ。

「へぇ〜!可愛いね!女の子??」

「うん、そうだよ。あんま女らしくないけどな。」

春樹が笑いながら言った。

「そうかなぁ??大人しいよ?」

「そりゃ、いきなり知らない人が来たんだから、大人しくなるのもしかたないだろ?」

「あ〜そっか!」

「はい!お茶。」

犬のことを話してる内にお茶が出来た。

「あっありがとう!じゃあ早速いただきます!」

「…味どお?それ、あんま飲んでないから味に自信ないけど…。」

桜は、なんとなく懐かしい味がした。

「これって…ストロベリーティー?」

「よく分かったな!みんな飲んだとき『毒の味がする』って言うんだぜ!?これ…好きなの?」

「うん…小さいとき、いつも飲んでた…。」

『やっぱり…』

春樹が桜を見ながら
そう思った。

このお茶は桜と兄が小さいときに、いつも飲んでいたお気に入りのお茶と、全く同じ物だ。

「…俺も小さい時、いつも飲んでた。」

「春樹先輩も好きなんですか?」

「うん…いつも妹と飲んでた。」

「…えっ。」

二人は思わず黙ってしまった。

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