愛してよダーリン

ジェラシー






電話が切られてからすぐに来てくれた樹。



めんどくさそうに自転車を探してたけど、最終的にはあたしの自転車を見つけてくれた。




「ありがとう」



そう言ったあたしに、樹は素っ気なくだけど『別にいいから』とだけ答えた。



しかもその後、奥に置かれてたあたしの自転車を、試行錯誤してまで出してくれた。



これは絶対、明日は台風になるに違いない。



そんなことを思ってるあたしの耳に、



「つか、やっぱ夜自転車いらねぇわ」



樹の声が聞こえる。



「使わない……の?」


「先輩に原付貸してもらうことになった」


「そっかぁ」



せっかく夜も樹に会えるって思ったのに………



………って、え?!



樹の誕生日は6月。

そして今は5月。



あたしの知識だと、原付バイクを乗れるのは16歳になってから。



樹はまだ15歳。

ってことは、まだ乗ってはいけない。



なのに先輩に原付を借りるって!



樹はすでに友達が数人いる校門に向かっている。



「ちょ、樹ってばっ」



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