愛してよダーリン




それから数分、樹は誰かと話し初めたため、あたしはしばらく黙ってた。




『今どこにいんの?』



すると、話し終わったのか、小さなため息をついた後に何を思ったのか、そう聞いてきた。



「どこって………駐輪場だよ」



場所聞いてきたってことは、来てくれるってこと?


いや、そんなわけないよね。



………でも、樹からはあたしのその考えとは反対の答えが返ってきた。



『今から行くから』


「え、来てくれるの?」


『あぁ、行く。じゃ』



ツーツーと電話が終わった音が鳴る。



それだけ言われて電話は切られた。




いったい何が樹にあったんだろう。


そんなことを考えてしまうくらい、樹が自分からあたしのために動いてくれるのが珍しい。



ただでさえ、たくさんの自転車の中から1つの自転車を探すっていうめんどくさい作業なのに。



………もしかしたら、明日は台風かもしれない………なんて思ったりする。



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