いばら姫
――――…天の川
地上には
観光地で良く見る
少しその場所とは浮いた感じの
原宿を真似た雰囲気の建物達
まだ人の姿がある24時間のスーパー以外は
明かりが消えていて
中心の広場には
太陽の塔みたいな、白い時計台
長針と短針が、
てっぺんで一つになる少し前
すぐに車は、そこを通過して
駅からあっと言う間に、
海辺の景色へと辿り着いた――
" 私有地につき 立入禁止"
森と、そんな注意書きの看板が立つ
細い舗装された道を抜けて
広い砂浜の向こうには、
二つの明かりが見えた
オレンジの光が照らす
かなり大きめのログハウス
そしてその隣り合わせにあるのは
「―― "黒いサボア邸" …?」
少し身を乗り出して
その建物を見つめた俺に
池上が、のほほんとした声で答える
「 うん
『イチカの憧れている家』
地下はスタジオになってるんだ
外観はガラスと黒い鉄筋の、
初期の近代建築
でも中に入ると階段とか、トイレとか
所々にゴシックとかバロックとかの
細かいデザインが入ってて
この建物を見た時に
―― " 教室BAROQUE" のストーリーが
パーッと降りて来たんだ
撮影の日は、お疲れ様でした
風邪、ひきませんでしたか?」
「…俺達が居たの
気が付いてたんですか 」
池上はカラカラと笑い
黒いサボア邸の裏に、車を停めた
「そりゃあね
貴方『群集』なのに目立って
カメラ構えた時に、少し困ったよ」