いばら姫
―― 車外に出ると
ぬるい海風の中に、秋の空気
だけど
一瞬奮えが来たのは
そのせいじゃない ――――
― 視線
白い砂に足跡を残し
目の前に立っているのは
―――― 真木 空哉
静かな顔で歩いて来たかと思うと
胸倉を掴まれ
いきなり腹に一発入れられた
予感は寸前にあったから
咄嗟に身を退く
反撃しようとして腕を延ばしたら
途端に左の拳が降って来て右顎に衝撃
――痛みは予想した程ではなかったのに
頭の中と視界が揺れ
胸倉を掴まれたまま、砂浜に膝を突いた
そのまま奴はしゃがみ込み
外国人みたいな顔が目の前
「…何しに来た……?
アズルに逢わせる気は、一切無い
ふざけてないで帰れや 」
「 真木 やめろ 」
――――――― 低い声
揉み合う二人の間に割って入ったのは
一瞬で視界を覆う白い背中と
節からの長い、デカい手だった