いばら姫











背中を向けたままの"奴"が
足元を見つめながら

ジーンズに指をかけ
片方の足で、砂を蹴ってる




『…青山さん アズ起きたって』

携帯を取り出した灰谷が
画面を見ながら報告

硝子の建物に燈された薄暗闇の中で
その青いランプだけが、星の様に光り




青山は ――――

その知らせを聞くと
途端に柔らかい色を、その瞳に返した


少し小走りして、
ログハウスへと戻って行く




池上が息をひとつ吐いて微笑み

「岡田さん ここの二階へ
少し唇切れてるから、薬塗ろうよ」



池上が有無を言わさない勢いで
俺の腕を引き、建物へと歩き

それを引き止めたのは
真木の声



「――― 岡田さん

… まず真夜中に来たのが気に食わない

確かに今はオフだし
アイツは仕事柄、時間が不規則ですが

―― 女の子なんですよ


俺にはもう一人
血が繋がった妹が居ますが
こんな時間に野郎が訪ねて来たら
普通にぶっ飛ばします 」





そう言って踵を返し
灰谷はそれを見届けると
先に走った





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