いばら姫





――風が強くなって来て
ドアをカタカタと鳴らす

誰かも見ずに、携帯を取った



「―――…… はい 」


『…岡田さん 起きてる? 』


「……起きてるよ 」



『… 少し、人連れて行くから
時間は取らせない 』


「…… 人間連れて来いよ 」


『 はは 』


灰谷はおかしそうに笑い

――― 少しすると外の階段から
カンカンと軽い音が、駆け昇って来た







起き上がってドアを開ける


隙間から
漏れた明かりに立つのは
随分小さな女の子で高校生くらい


――…見覚えがある様な気もするけど
近所に居そうな、普通の子で
髪は肩迄の おかっぱ

目がクリクリと動いて、
ちょっとリスっぽい




だけど俺の顔を見ると、
ポカンと口を開いて絶句している

……顔の傷、酷いのかな




その子は灰谷を引っ張ると
何やら激しく内緒話

『…何 』

「…あ…アズさん
顔とか知らないで、
仲良くなったんだよね?!」

『…そうだよ 』

「…………。」




――――…ああ
そういう事ね


…俺はアイドルの、山上トモキ、
通称"山P"と呼ばれてる奴に
何だか雰囲気が似てるらしく

高校時代は"山P先輩"とか
呼んで来る奴も居た


…それとも値踏みかな
上から下まで眺め回されて、ちょっと怠い





「…風、強いから 早く中に」

『…入れ 』


灰谷が女の子を中に入れて
ドアを閉めた








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