いばら姫
東京の住まいは1K
水も悪いし、空気も悪い
憧れの仕事場は
雑誌にゲーム会社とかの紹介で載っている
大企業の真新しく、
レクリエーションルームがある様なそれとは
全く違っていて―――
高園寺の住宅街に近いビルで
現像室と、ポラ撮り部屋
事務所だけの小さな一室
そしてボスの『吉田浩二』と言えば
"スタジオは借りるんだ"と
ジョンとは正反対の、
あの明るいアニメの脚本を
こいつが本当に考えているのかと思う様な
殆ど話さない男で
俺もやたら話す方でも無いから
正直困った―――
まず、PCの使い方と
電話の受け付けの繰り返し
数人の実働部隊が
タイムカードを押しながら
下に停まるワゴンに乗り込むのを毎日見送り
下働きながらも現場に出て
怒鳴られながらも
その空気を楽しむ覚悟で来たから
かなり戸惑った
―――― だけど真木
あんたに感謝してる
病室でキーを渡された時に
同時に渡されたあの言葉を
あのチケットを渡されたお陰で
今ここに居る意味が
きちんと理解出来るから――
「 岡田さん 」