いばら姫
再びエレベーターに乗り
ビルの入口から外へと出ると
横付けしたイエローキャブが
エンジンをかけたまま停まっていて
運転手と池上が談笑している
その傍には
黒髪を背の真ん中迄延ばした少女が
ユカちゃんの姿を見つけて走り寄ると
綺麗な眉毛を吊り上げて
本気モード、怒涛の勢いで怒り出した
「 …真木の妹だな 」
『 …だね 』
ユカちゃん、妹、池上の順で
車の中
それでも一生懸命、体を曲げて
後部ガラスに顔を押し付け
ユカちゃんは灰谷の姿を捜している
「 灰谷!
声掛けてやらんでいいのか?! 」
『 … クリスマスに遊ぶ約束してるし 』
―― 灰谷は
走り去る車を振り向く事無く
地下駐車場の入り口に向かって
ブーツの音を足早に たてた