いばら姫
伴われた場所は二階
事務所の奥の仮眠室
畳張りになっていて
窓があり、明るい
エアコンの音と、冷蔵庫を開く音
「淳、頭 少し持ち上げるね」
白い指が、首の隙間に入り
アイス枕がそこへ潜り込む
「……何で俺って判った」
「…しゃがみ込んでる人がいて
心配になって見に行ったら
……淳だった 」
「そこは "当たり前"とか
言う場所だろ
……おまえらしいけど」
少し苦笑しながら
アズから手渡された、
スポーツドリンクを飲む
―アズの目が赤い
……泣きはらしたような瞳
「… "奴"が出るの、知らなかったのか
てっきりおまえが
"CheaーRuu"を、ぶっちぎり一位にして
出演させたのかと思っ…
――――…悪い
…演奏、聞いたから…
今はそんな事、思ってない」
「…もう少し言い続けてたら
ジュースぶっかけるとこだった」
「……嬉しいか 」
「当たり前だよ 」
「…そりゃそうか、男だもんな」
「それも違う
――― 男とか女とか、関係ない。
……一緒に
音楽をやってた人間としてだよ」
「…俺 男女の友情とか
信じないタイプだからさあ」
「それは淳の考え方で
皆が皆、そうじゃないよ」
「おまえ…
ホントに、俺に喧嘩売るの好きだな
―――俺、あの海デートでの
可愛いアズがいいんだけどなあ」
「……もういぃ……」
「あーず。
…Maximは本人目の前にして
少し動揺してるだけだから
そしてMaximも!
ほんっとあずに、憎まれ口しか
きかないな」
…俺だって優しくしたい
だけどいつだってアズは
俺とは違う考え方ばかりで
嘘にしか聞こえない事を言う