大空で駆ける
「後ろ乗れよ」

渚が自転車に跨りながら言う
アタシは何も言わず、泣いたまま後ろに乗る
てか、アタシの自転車だし…


家に帰るまで一言も喋らなかった




「…鍵は?」

家につき、渚がアタシの前に手を差し出す
……………
反応しないアタシ
ふぅーとため息が漏れるのが聞こえた


仕方なくチャイムを鳴らす渚
しかし、家をでる前にアタシが言ったことを素直に守っている岬は
完全にシカト


「岬−!俺だよ、開けろ!」

渚の声が届いたのか
中から玄関に向かって駆けてくる音が聞こえた


ガチャンと鍵のはずれる音
そして開かれるドア


「お兄ちゃん!あ、お姉ちゃんも!お帰り!」

天使のような笑顔でアタシ達を出迎えてくれた
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