三度目の指づめ


次の瞬間…矢の様に延びてきた腕にあたしの髪は捕まれた。
力任せにカウンターに顔面を叩き付けられる。
瞬きのことで避ける事も防御する事も出来ずに…思いっきり額にカウンターの木目がめり込んだ。

脳味噌がバウンドする。


“額が割れた”


本気でそぅ思った。

叫ぶこと出来ず…無声音だけが辺りに響いた。

まるで…床にスイカを叩き落としたみたく…あたしの頭は弾けた。

他の店員が取り押さえるまで…あたしの頭はカウンターにドリブルを繰り返していた。
しまいには額がパックリ縦に口を開く。

辺りが血の海になっても、兄はあたしの髪を離さなかった。

そして、言う。


『どの口が、言うんだ!!あぁ?!てめぇは何様のつもりだ!!あぁ?!!』


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