大人になれないファーストラバー


バスに揺られること15分。
あまり使うことのない、さほど大きくない駅に着いた。




「橋本っ」



バスから降りるとすぐに誰かに呼び止められる。

あたしは咲之助の後ろに隠れるようにしてその声の方を向いた。




「阿宮」




あたしを呼ぶのとはまた違った声音で咲之助は言う。


咲之助の肩越しに見えたのは、前に玄関先で手を貸してくれようとした男子。




あたしの成長が止まったと分かってから、何かとこの男子―阿宮との関わりが増えた気がする。




咲之助がインフルエンザで一週間出欠停止になった時、代わりにあたしの髪の毛にアイロンをかけてくれたのが阿宮だった。
たぶん咲之助が頼んでおいたんだと思う。


いい人ではあるのだけれど、未だに警戒をとけないでいる。






「さっき観月からまた連絡あって、遅れるから先行ってだって」



そう言った阿宮に咲之助は「そっか」とだけ答える。


阿宮が観月の連絡先を知っていることを不思議に思いながら、あたしはずっと咲之助の後ろにへばりついていた。



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