大人になれないファーストラバー


「観月?」



今日も深夜のバイト入ってるなあなんて、教室の自分の席で考えてたら、ふいに肩をつつかれた。





「観月、今日お弁当一緒に食べていい?」




眺めていた通帳を素早く閉じ、机に滑り込ませてから振り向くと。

頼りなさそうに蕾が立っていた。




「うん、いいよっ もちろんっ」




この子はあたしの正体を知らない。
本当のことを言ったらどんな風に感じるのだろう。


地味なカメラマンに恋をして、ほんとは男だけど女として生きてる。

…なんて、現実味ないよなあ。





蕾はあたしの前の机に座ると、椅子だけをこっちに向けて。
あたしの机の上にお弁当を置いた。



「観月、なんかぼーっとしてる」



誰かさんみたいに軽く眉間にシワを寄せて、じっとこちらを見てくる蕾。




「えー そんなことないよー」



って、いつもの"観月アヤ"を演じる。




「それより、蕾、平気?」


「え」



「咲之助くんのこと。」





あの旅行から何日かたっても幼なじみ二人は学校に来なくて。

ようやく登校してきたかと思えば、幼なじみの片割れは佐伯マユナとか言う派手な女と付き合い出してるし。




ここ数日で何が起きたのか、気になっていた。



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