大人になれないファーストラバー
「え、じゃぁ、聞くよ」
自分から言っておいて、拒否するなんて今さらできなかった。
「うん。じゃぁ話すね」
蕾はお弁当箱の端に箸を渡して置いて、改まった顔でこちらを見る。
「サクのことはまだ好きだよ」
「だよね、やっぱり」って口を挟もうとすると、蕾はすかさず続けた。
「でも、辛いよ。…終わりにしたい」
語尾のほうに行くに連れてその声は小さくなっていく。
消えゆきそうになる蕾の言葉に、なぜか息苦しさを覚え。
机の下に手を潜らせて、向かいに座っている蕾の手を握った。
それは膝の上で固く握られていて、少し震えてる。
「観月…」
「大丈夫だよ。辛いことは長くは続かないから。」
言って、いつもの"観月アヤ"で微笑んでみせる。
でも、心のなかでは。
幼なじみなんていう繋がりが羨ましいような、うっとうしいような。
そんな、二人の強い結びつきに嫉妬していたのかもしれない。
蕾に思われてる咲之助くんも。
咲之助くんを思って苦しむ蕾も。
両方ともめんどくさくて、二人の繋がりがうざかった。