大人になれないファーストラバー

二人ともびしょ濡れだったから。

このままお風呂入いっちゃえば楽だよ、なんて蕾は言ったんだけど。


そうはいかないでしょ。
だって。だって、ね…




男だもの。




あたしはまた"女の子の日だから"って嘘をついて危機をまぬがれて。



蕾がお風呂から上がってくるまで部屋で待ってるからと言って、今は蕾の部屋でぼけっとしてる。





それにしても、カーテンをどれだけ厳重に締め切っているんだ、この部屋は。



両開きになるカーテンの左と右の境のところが、上から下まで洗濯バサミでびっしりと挟まれていた。


まるでこの向こうにあるみたくないものを必死で隠すかのように。




異常に取り付けられた洗濯バサミの大群をじっと見つめていると。

浮かんできたのは蕾の幼なじみの顔。




いつだったか、「咲之助の部屋丸見えなの」って蕾が言ってたのを思い出す。



その時はまだ1年生の始めで。
それから約1年後にはこんなことになってるなんて、誰も知らなかったんだろうな。



蕾が病気になることも、咲之助くんに蕾以外の彼女が出来ることも。
あたしが、蕾のことこんなふうに見るようになることも。


そう考えると、なんだか切なくなった。



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