大人になれないファーストラバー
カーテンに付いてる洗濯バサミを一つ取って、向こう側を覗いて見る。
窓があって、それからベランダが広がってる。
それから、
…咲之助くんの部屋。
なんだかこの距離ならここからでもお互いの部屋を行ったり来たり出来そうだ。
こんなに近くにいたんじゃ、お互いの変化に敏感になるのも無理ない。
今日が楽しかったとしても、明日には何が起こるか分からないから。
不安が募るだろうな。
時刻はたぶんそろそろ夜10時くらいになると思うんだけど、咲之助くんの部屋は真っ暗。
もう寝てるのだろうか…
だったらつまらないな、と思って、覗き穴ならぬカーテンの隙間から目を離そうとしたら。
ぱっと電気が付いて、窓の枠の中に咲之助くんと…
佐伯マユナの姿があった。
なんでこんな時間に二人で帰宅?
しかも咲之助くんの部屋に。
ふいに佐伯マユナが咲之助くんに抱き付いた。
咲之助くんはそれを離そうとするけど、マユナはどんどん迫ってく。
咲之助くんを壁に押しつけると、信じられないことにマユナはちらっとこっちを見て妖艶に笑った。
あたしはなんで目が合ったのか分からず、なんだか鳥肌が立つ。
ふっと、誰の手によって消されたのか分からないが、目の前の部屋は電気が消えて再び真っ暗になった。