大人になれないファーストラバー
シャワーだけ浴びて短時間でお風呂から出て。
驚いたのは、女ものの下着が丁寧にたたんで置いてあったこと。
しかもそれは自分の脱いだ服の上に乗っていた。
「…え。」
思わず声が漏れた時。
脱衣所のドアの外から声がした。
「観月ちゃん、下着置いておいたからそれ使ってね」
それは蕾のお母さんで。
いつ脱衣所に入ってきていたのだろうと思う。
シャワーの音で全然気配に気付かなかった。
「え」
「誰のですか?」と出かかって慌てて口をつずんだ。
それは聞いちゃまずいでしょ。女だとしても男だったとしても。
「あ、ありがとうございます。」
取りあえずも何も、それしか言えなかった。
「履けませんっ」て拒否する勇気もないし。
「今日はもう泊まって行くよね。 なんか咲之助くん以外が泊まるなんて始めてだから私まで楽しくなっちゃう」
ドアの外でほんとに楽しそうに話す蕾のお母さん。
どうやらあたしが泊まっていくことはもう決定したことのようだ。
あたしが何か言おうと口を開きかけると。
「それに、咲之助くん、もう泊まりには来ないだろうしね」
と、今度は少し寂しそうで。
「だからね。観月ちゃんが来てくれてよかったわ」って、蕾に似てる声でそう言った。
少し幼い感じを残すそのしゃべり方が蕾とそっくりだったから。
やっぱり親子なんだなあって思った。