大人になれないファーストラバー
「ねぇ、どっか行っちゃうの?」
上半身を起こして心配そうな顔で詰めよってくる蕾。
「行かないよ、なんとなく聞いてみただけっ つか起きてたんだっ」
「いつから起きてたの?」と問うと、「タオルケットかけてくれたあたり。」って、蕾は下斜め45度を見つめながらぼそぼそと言う。
そしてまたあたしの目を見た。
「"なんとなく"であんな寂しいこと聞く?」
このまま話しをうまく逸らせる気がしていた。
なのに蕾はなかなか的を射た質問をしてくる。
「聞くよお、一年に一度くらいは気になるじゃん。 自分がいなくなったら泣いてくれる人はいるのかなって。」
あたしがそう言うと、蕾は「むう…」と小さく唸りながら考え出した。
このままこっちのペースに持ち込めば、本当のことは言わなくて済むかもしれない。
「蕾は泣いてくれるの?」
蕾が考え終わるまで待たずに、もう一度聞いてみる。
「それは…」
言いかけて、蕾は口を閉じ、もう一度開き、また閉じ。
そんな間を挟んでようやくまた口を開いた。
「…泣くよ」
と、シンプルだけれど直球な、そんな言葉を返されて、なんだか胸が痛かった。
安易に聞くものじゃないなって、少し反省した。