大人になれないファーストラバー
担任に見放され、路頭に迷った俺。
頭を深々と下げる目の前のハヤマのつむじを、口を開けたままでただ見つめた。
「…あ、うん。」
何も考えず、口が動くままに声を添えた。
これは無意識に出てしまった反応で、「うん。蕾あげる。」の意味ではない。
なのにハヤマと来たら、
「ほんとっ!? マジで!? え、いや…ほんとっ!?」
と、勢いよく顔を上げて畳み掛けてきた。
「え、いや…いつか、な」
ここまでテンションの上がったハヤマに"嘘だよ"なんて言ったら、また変な武士語が出てきそうだから…言えない。
「いつかって、いつ!?」
もはやハヤマの雰囲気にはクールさの欠片もなく、心の底から嬉しそうで。
目をキラキラと眩しいほどに輝かせそう聞いてくる。
「い、いつかだよ」
両肩を掴まれたままで、迫りくるハヤマの顔から逃げられない。
「ほら、そろそろ昼休み終わるから…」
「いつなのかだけ答えてくれっ」
ほぼ抱きしめられてる格好になってきて、だんだんその気迫に押し倒されそうにもなってくる。