砂漠の月歌 〜dream story〜




……自暴自棄に入ったな、と自分を嘲笑うと、ふ…と王子の耳に何かが聞こえたような気がした。



「…?」


一旦立ち止まり、ゆっくりと辺りを見渡す。

━━━唄が聞こえるのだ。



(唄…?)


王子はそっと耳を澄ます。



(……一体、何処から…)


どうやら森の奥に誰かがいるようだ。その唄声は森の奥から聞こえてくる。



(━━━……)


その澄んだ唄声に導かれるように、王子は声のする方へとゆっくり歩いてゆく。

段々声に近づいているのを感じる。

そして森を抜けると、そこは青白く輝く美しい湖だった。



(……誰か、いるのか…)


湖の畔に人影が見え、木陰で踏み止まって様子を伺う。
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