きっと ずっと もっと。
行為の後はいつも、そう。

目が覚めると目に映るのは、決まって見知った隣家の白い天井で、其処にコーちゃんの姿はない。


果てたあたしの意識が戻らぬうちに、後処理をしたコーちゃんが部屋に居ないのは常だった。


躯だけの関係。

それが大人の男性であるコーちゃんにとって、都合の良い関係と言う事は百も承知。


家族ぐるみの付き合い。
好きも嫌いもない。

その上、まともに恋愛もした事がないあたしが相手なら、後腐れない。


いつもの様に一人残されたあたしは、いつもの様に枕元に置かれていた物に手を伸ばす。

指先に触れたのは、ご丁寧にも畳まれたあたしの衣服。


それらを手早く身に付け乱れたシーツに顔を埋(うず)めると、其処には先刻まで確かに此処に居た“幸大”の香りがした。




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