最愛の人
「こんにちは。あなたが秋山初美さんね。」
にこって笑って話しかけてくる高橋さんは……
悪い人ではなさそう。
「はい…そうですけど…」
「急に呼び出してごめんなさいね。ちょっとお話があって」
「そうですかー……で、話って何ですか?」
さくっと、本題に入ってほしい。
こっちはバイトがあって時間ないんだから!
「じゃぁ、早速本題に入るわね。あなたには施設に入ってもらいたいの。」
「………」
「おばあちゃんが亡くなってあなたには身内がいないでしょ?あなたはまだ未成年なの。1人で生活は辛いと思し、勉強にも集中してもらわないといけないのよ。」
施設……?
あたしが施設に入るの…?
「いやです。お断りします。」
あたしは1人で頑張るって決めたんだもん。
この人は仕事の為にここに来た。
あたしを施設に入れないとこの人が怒られるから。
誰もあたしのことを思って言ってくれてるわけじゃない。
なんでかな…?
素直になれない。
本当は心配してくれてるのかもしれない。
だって、あたしが断ったから凄く切なそうな顔してる。
その顔を見ても、この人を信じようとは思わなかった。
本当、素直じゃないなぁ…