最愛の人


「今すぐに答えを出さなくてもいいわ。ゆっくり考えてみて。」



考えなくても答えはわかりきってる。
あたしは施設には入らない。

今だってバイトも勉強も両立させてるもん。
今できてるんだからこの先だって大丈夫


「………」



「わかった。今日はこれで失礼するけど、またお話しに来るわね。その時までゆっくり考えてちょうだい。」


黙ってるあたしを見て、今日は諦めたらしい。
また来たとしても答えは同じ

「いやだ」

に決まってる。


担任の先生と少し話をしたあと高橋さんは帰っていった。



「秋山…俺からも頼むよ。施設のこと考えてくれないか?」



「………」

なんで先生にそんなこと言われないといけないの?



「何かあったら困るだろ?」


あー、わかった。
あたしに問題があったら責められるのは先生だもんね。


今のうちになんとかしておきたいんだ。






可愛くない。
ほんと可愛くない。


先生もあたしのこと心配してくれてるんだ…ってどうして思えないのかな?



自分で自分が嫌になる。



「だからな…」


「先生、あたし帰ります。失礼しました。」


ここにいると嫌な自分ばかり見てしまう。
それが嫌でまだ何か喋ってたみたいだけど話を遮って部屋を出た。

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