原色ヤンキーにメガネ
朝、目覚めて

「おはよ、お母さん」

「あら、おはよ」

一応隣の和室にいるだろう母に声をかけると案の定、そこから声だけが返ってくる。

いたっていつも通りの朝。

良子はすでに用意されているテーブルの上の朝食を見て、冷蔵庫から牛乳を出した。

(あれって夢だったのかな……)

そんな事さえ思ってしまう良子。

しかし……

無情にも和室から母の声。

「あ、そういえば玉置君のお母さんから電話が来たわよ」

「ブブッ!」

噴出した牛乳をティッシュで拭きながら良子は母に尋ねた。

「い、いつ?なんで?」

「昨日の夜。良子が二階に上がってから」

「……なんか言ってた?」

「ん?ごめんなさいって。女の子に喧嘩させてしまってごめんなさい。それから──」
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