きみとベッドで【完結】

雛鳥にエサをやる親鳥の気分だ。



でも俺は、雛を巣立ちさせるためにエサをやっているわけじゃない。


空へ飛び立たせるためにやってるつもりはない。



ただこの巣の中に、縛りつけるためにやっている。


空なんて、飛ぶ必要はないと言い聞かせて。



「でも今年は、盆のあたり1週間休みとってるんだ」


「ふぅん」


「実家に帰ろうかと思ってる」


「実家? どこ?」


「静岡。俺は大学からこっちに出てきたんだ」



興味があるんだかないんだか。


シキは「そうなんだ」とだけ呟いて黙る。



きっと、自分のことを聞かれたくないからそんな態度になるんだろう。


そんなシキに、おまえの地元はどこなんだとは、聞きにくい。

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