きみとベッドで【完結】
「なにやってるんだおまえら。ここ3階だぞ。危ないだろうが」
教師らしく注意してみたが、誰も耳を貸さない。
唯一、ピアノの前で楽譜を見ていた浅倉だけが、
「むだですよ」と返してきた。
「2年生のカッコイイ先輩に、みんな夢中なんです」
「2年?」
「茅島先輩ですよ。背が高くて、ちょっと髪が長い」
「ああ、いたな。そういう目立つのが」
俺が数学を教えたことはないから、くわしくは知らないが、
目立つ生徒は自然と目に入るものだ。
「浅倉は見なくていいのか?」
「ええ? あたしですか? あたしはあまり、好みじゃないから……」
自分の長い髪をいじりながら、
浅倉がぽつりと答える。