きみとベッドで【完結】
浅倉に行けないと言わずにいた理由は、
彼女を傷つけたくなかったからだ。
傷つく顔を見ることを、先延ばしにしていたんだ。
自分がこれだけ弱い人間だったなんて、知らなかった。
「吹奏楽部の三宅先生に、代理を頼んでおいたから。俺よりずっと音楽に詳しいし、色々教えてもらってくれ」
俺はつとめて、特別な感情は出さないように、
他の生徒に接するのと同じように、浅倉にそう言った。
「顧問なのに悪い。……これはもらっとく。ありがとな」
意味をなくしたCDを受け取って、俺は浅倉に背を向けた。
誕生日のことを一言も口にしなかったのは、
俺なりのけじめだった。