危険な誘惑にくちづけを
 お酒を飲む商売って、言うのは、ホストのことよね?

 だけども。

 ……わたし。

 紫音がそんなに……

 学校にも通えないほど、重い病気にかかっていたことがあるなんて、知らなかったんだ。

「えっ……と。
 その病気って、何の……とか聞いてますか?」

 わたしの質問に、風ノ塚先生は、軽く目を見開いた。

「おや~~?
 君は聞いて、なかったんですか?
 僕は、てっきり……」

「なんの病気だったんですか!?」

 心配で。

 半分叫ぶように聞いたわたしに、風ノ塚先生は、困ったように言った。

「えっと~~ 心臓?」

「なんですって!?」

 もしかしなくても、イノチに関わる、大変な病気じゃないの!

 なのに、わたし……!

 何にも、知らなくて……!

 多分、わたしは、だいぶ青ざめて見えただろう。

 音を立てて、血の気が引いたような気がした。

 前に、薫ちゃんが、自分のことを『紫音の主治医』って言ってたっけ。

 その時は『アレクサンド・ライト』を、薫ちゃんが紫音に飲ませていたからだ、と思ってた。

 だけども、本当は……

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