危険な誘惑にくちづけを
「うん、もひろん」

 口の中に幸せの元を詰め込みすぎて、声なんて、まともに出ない。



 だって、すごく美味しいんだもん!


 わたしが、喜んで食べているのを見て、紫音も満足そうに自分の分を食べ始め……。

 ふと見た、そのご飯の量に、驚いた。

「……紫音。
 だいぶ、食べる量が少なくない?
 もしかして、わたしたち、紫音の分も横取りしちゃった?
 それともカラダの調子、悪い?」

 だって、文句を言いながらも結局。

 口の周りにご飯粒をくっつけて、もぐもぐ食べている佐倉君の、1/4ぐらいしか、よそってないし。

「大丈夫?」

 なんて、言いかけたわたしの言葉を。

 紫音は、笑って遮った。

「いいや。
 オレは、作っている最中に味見がてらに食ったし。
 どちらか、と言うと。
 あのエロガキの方が、食い過ぎだ」

「エロガキって言うな!
 オイラには『佐倉 大樹』って言う、立派な、名前があるんだからな!」

「汚いわね!
 しゃべるなら、ご飯を飲み込んでからにしなさいよ!
 これじゃ、彼氏さんに『ガキ』って言われたって……!」

 また騒いでる、佐倉君と水島に、紫音は、クビを傾げて言った。
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