危険な誘惑にくちづけを
 なんと言っても、コップの周りについているの、お塩だし。

 飲んだら、よけいにのどが渇くよ~~な気は、したけれど。

 今までに飲んだ中で、一番おいしいジュースだったから。

 深く考えないで、一気に飲み干した。

 とたんに。

 歌ってた時よりも大きな歓声と、拍手が男子の間から湧き上がった。

 ……?

 なんで?

 わからないけど、ま、いいか♪

 気分いいから、もう一杯もらっちゃえ。

「佐倉く~~ん
 もう一杯~~!」

 なんて、空のグラスを振って頼めば。

「よし来た、どうぞ♪」

 って、自分の為に取っておいたはずのジュースをわたしにくれた。

「え~~
 でも、これ、佐倉君の分でしょう?
 もらっちゃったら悪くない?」

 ジュースをもらっちゃったら、佐倉君の前には、何のグラスもない。

 それは、さすがに、悪いでしょうって遠慮したら。

 佐倉君はすぐ、次を頼むから、いいよって、片目をつむった。

「でも、さ。
 春陽ちゃんにあげるのわかってたら。
 先に一口だけ、こっそり口をつけておいたのに」

 なんて、佐倉君は、笑う。

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